BLOGブログ
- 2024.02.04
- CATEGORY先生のへや
ネット検索で得られる情報は本当に正しい?
近年、情報収集にネット検索が欠かせないものとなりました。かつては百科事典や辞書を頼っていた時代も、今では百科事典を見かけることさえ少なくなりました。
しかし、ネット検索で得られる情報は本当に正確なのでしょうか?
ネット検索で誤情報が真実だと確信してしまう?
昨年12月、科学雑誌Natureに衝撃的な研究結果が発表されました。そのタイトルは「誤った情報を検証するためにネット検索をしていると、その情報が真実だと確信してしまうことがある」というものです。(1)
この研究では、3006人の被験者を2つのグループに分け、一方にはオンライン検索を促し、もう一方には促さないようにしました。そして、特定の記事を評価してもらったところ、ネット検索したグループの方が、虚偽や誤解を含む記事を真実と判断する傾向が強くなったことが判明しました。
さらに、4252人に虚偽/誤解を招くオンライン記事を評価してもらい、その後ネット検索後に再度評価してもらったところ、驚くべきことに、ネット検索後に虚偽ニュースの信頼性が高まってしまう結果となりました。
この傾向は、時間が経って正しい情報が提供された後でも、また、COVID-19をめぐる虚偽/誤解を招く記事を評価してもらった場合でも同様でした。
検索エンジンは必ずしも正しい情報を提供してくれるとは限らない
この研究結果から、検索エンジンは必ずしも正しい回答を返してくれるとは限らないことがわかります。また、検索するときのキーワードの選び方にもポイントがありそうです。自分の考えに沿ったようなキーワードを入力してしまうと、それに見合った検索結果が出てしまうのです。ネット検索では、なるべく客観的なキーワードを選ぶこと、検索結果を鵜呑みにせず、自らその真偽を評価することが重要です。
特に健康・医療関連の情報を検索する場合、その影響は大きいでしょう。
医療情報の質を見極める指標
筆者がかつて参加していた日本インターネット医療評議会(https://jima.or.jp)では、医療関連サイトの情報の質を判断する指標「インターネット上の医療情報の利用の手引き」を提案しています。(https://jima.or.jp/riyoutebiki.html)
ネット検索で得た情報は、必ずこの指標などを参考に、真偽を慎重に見極めるようにしましょう。
参考文献
1) https://doi.org/10.1038/s41586-023-06883-y