電話をかける電話をかける

BLOGブログ

週刊誌の健康関連記事の読み方

以前シェアードディシジョンメイキング(SDM、shared decision making、共有意思決定)について述べました。これは、「患者さんの価値観や考え方、人生観などを医療者と共有し、医療者が専門家としての立場から、診療内容のベネフィットとリスクを説明し、よりよい方法を共に考え選択すること」です。SDMが機能するためには、患者さんも医療についての一定の知識と理解が必要です。しかし、患者さんが入手する情報の殆どは、新聞・雑誌・テレビなどのマスメディア、インターネット等であり、その内容は時に偏っていることがあります。その例として、前回週刊誌に掲載された記事の問題を取り上げました。

週刊誌ではしばしば健康関連の記事が掲載されます。真偽の程はわかりませんが、健康関連の記事は季節に関係なく読者を確保できるため、スクープ記事がない場合、その穴を埋めるのに都合がよいと聞いたことがあります。健康は多くの方、特に週刊誌の読者層の関心事だからです。

週刊誌の健康関連記事を読む場合、私は以下の点を考慮すべきと考えています。

週刊誌の記事をどのように書くかは、その記者の考えによります。ありきたりな話では読者の興味を引かないため、やや衝撃的な内容になる傾向があります。前回紹介した降圧剤の記事はその一つの例といえます。

まずは、個人的な例を出して読者をひきつけますが、それが科学的に裏付けられているかについてはふれません。記者は医師ではありませんから、自分で調べたり、専門家に聞いて記事を書くため、時に医療情報、薬剤情報を誤って解釈している場合もあります。また、治療の問題点を強調しようとするあまり、そのベネフィットを語らず、リスクばかりを強調することもあります。その上リスクの程度や頻度を客観的な数字として示すわけでもありません。どうしたら良いか、代替案まで紹介することはありません。

確かに、専門家(医師など医療関係者)のコメントが紹介されますが、それは記事の内容に沿うようほんの一部が採用されているだけです。かつて私も週刊誌の取材を受けたことがあります。良心的な記者の場合、掲載される内容を予め確認させてもらうことができました。その一方で、私の確認なく、記者の都合のよいように発言した言葉を切り取られて掲載されたこともありました。これにこりて、その後取材を受ける条件として、掲載されたコメントをチェクさせてもらうことにしています。この条件を出すと取材がキャンセルされたこともあります。

週刊誌の記事は、記者の個人的な意見を反映しているだけであり、鵜呑みにするにはリスクがあります。別の信頼性のある情報源にもあたった上で判断することをお勧めします。